「不実な美女か 貞淑な醜女か」米原万里
ロシア語同時通訳だった故 米原万里さんが
初めて出版されたエッセー。何人かの同業者
の方たちの経験談も交えながら、同時通訳の
内幕を面白おかしくそして真面目に紹介され
ています。音声をその場で別の言語に変換し
伝えないといけない同時通訳者のものすごい
プレッシャーとその場に漂う緊迫感がアリア
リと伝わってきて、読みながら「自分だった
ら・・・」と考えて真っ青になる箇所がたく
さんありました。
通訳するとはどういうことか、どんな
準備をして同時通訳に臨んでいるのか、
通訳しにくい状況やしやすい状況はどう
いったことか、またそれはなぜなのか?
トップの同時通訳者の方でさえ、私自身が
簡単な通訳をしないといけないときに
感じたことがある違和感や難しさを感じ
てることに興味や親近感を抱きつつも、
語学を仕事にしているまだまだ下っ端な
私なんか何千万倍も言葉に向き合って
もっと努力しやなあかんわと思いま
した。
外国語ができる人がおそらくよく受ける
あるあるな誤解にもたくさん触れられて
て、思わず「やっぱりそうですよね!」
と思う箇所もたくさん。また英語学習や
翻訳する際にも共通する点がいっぱい。
自分が大事と考えていることにも言及
されていてやはり!と再確認できました。
どの言語かに関わらず、言語とは?と
いう部分にもしっかり触れられている
ので、語学に向き合ったり、語学を学ぶ
上でのヒントがたくさん散りばめられて
いる本でもあると言えると思います。
普段はあまり思わないけど、「この言葉、
書き留めておきたい!」と思う箇所が
たくさんある本でした。
そして、この本もそうやけど語学関連の
仕事をしてる人や、語学系の本やSNS
での投稿を通して一貫して共通している
のは、日本語力を磨くことがいかに重要
か(知識、言い換え、文化、価値観、読む
だけじゃなく書いてアウトプットなど
など)ということ。(外国語を磨くのも
もちろん大事なんやけど)。
(⇒この日本語力を磨く大切さについては
また別のブログに分けて書こうかと思い
ます。)
尊敬と共感がいっぱい、語学を仕事に
するそしてこれからもしていく上で
考え方や心構え的なものがすごく参考に
なる本でした。
最後に、米原さんは語学は「頂上のない
山に登っているようなもの」と著書の中で
話していたけど、まさしくその通りやなと
痛感しています。そしてこれって人生に
おいても共通していることだなと。
読んでよかった!
0コメント